A View of Tanichu (たにちゅーの思惑)

This blog is about personal thoughts and views by Tanichu. Tanichu is a nickname of Tadahiro Taniguchi.

論文掲載IEEE ITS "Unsupervised Hierarchical Modeling of Driving Behavior and Prediction of Contextual Changing Points"

2014年末駆け込みで一件,論文誌に掲載になりました.IEEE Transactions on Intelligent Transportation Systems(ITS) 誌です.

Tadahiro Taniguchi, Shogo Nagasaka, Kentaro Hitomi, Kazuhito Takenaka, and Takashi Bando
Unsupervised Hierarchical Modeling of Driving Behavior and Prediction of Contextual Changing Points
IEEE Transactions on Intelligent Transportation Systems

どうも,これまでの経緯で,ジャーナル論文は国内雑誌に載せている事が多く,極端にImpact Factor (IF) の付いている論文掲載実績の弱い @tanichu ですが,久しぶりにIFのきちんとした (IF>1.0) 論文誌に載せた気がします.まぁ,いろいろありました(トヲイメ (´・ω・`)).

 

 IEEE Intelligent Vehicle 2014 (IV'14)でOral採択 (6%) 頂いた論文にかなり加筆修正して投稿した内容になっています.Proposal自体は大体同じです.@phelrine くんが,修士課程の時にやってくれていた内容になりますね.

内容としては,教師なし学習により単語・音素に類した構造を抽出する二重分節解析器を自動車運転データに適用するぞ,という一連の研究の最新版になっています.これまで,

  1. Kazuhito Takenaka, Takashi Bando, Shogo Nagasaka, Tadahiro Taniguchi, Kentarou Hitomi
    Contextual Scene Segmentation of Driving Behavior based on Double Articulation Analyzer
    IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems 2012 (IROS 2012), 4847-4852 .(2012)

などで,二重分節解析の結果,チャンク(運転単語)の切れ目が「運転の文脈(意図)の切り替わり点」を推定できているのではないかという示唆を得てきているのですが,本論文では次にやってくる運転文脈の変化点までの時間長を予測します.

二重分節解析器における時系列データの分節化部分をHDP-HSMMに変更し,チャンク長(運転単語長)を明示的に予測できるように変更しています.また,離散文字列(HSMM における super state列)をベイズ教師なし形態素解析でチャンク化するときの事後確率について,サンプリングを行い単語の単位を確定することなく,全ての後続単語の確率を周辺化し,持続時間長を無限混合ポアソン分布として予測します(実際には,無限の未観測単語の合計長については単一のポアソン分布で近似します.).

手法とアプローチの全体像↓

f:id:tanichu:20150104182148j:plain

そんなわけで,IEEE ITSに載っている論文の中でも生成モデルのアプローチでこれだけややこしいもの(^^::) は稀だろうとは思いますが,やってることは妥当なんじゃないかな,と思っています.できれば,もう少し,シンプルなモデル,アルゴリズムにしたいのですが,,,,

2007年くらいに「音声のみならず一般的な時系列データから教師なしで単語・文字の階層構造を教師なし学習で抜き出す」という二重分節解析の基本コンセプトを考え始めた時(当時のメインターゲットは人間の動作からの単位動作抽出だった)には,ここまで引っ張るとは思わなかったけど,まだまだ,ネタは広がりそうです.

SSI2014やIBIS2014で紹介した名古屋大学の武田研,デンソーとの共同研究もかなり面白いことになってきているし,自動車運転データを「実世界の自然言語」として取り扱うというSemioticなコンセプトがようやく形になりだした気がしています.

このテーマは本当に共同研究者に恵まれている.感謝感謝デス.

 

ちなみに,「論文を読むのはちょっときつい」という方につきましても,二重分節解析器のお話は僕の「記号創発ロボティクス」にもひと通り書いておりますので,そちらを御覧ください. 

記号創発ロボティクス 知能のメカニズム入門 (講談社選書メチエ)

記号創発ロボティクス 知能のメカニズム入門 (講談社選書メチエ)